2011年度「東京の緑を守ろうプロジェクト」助成支援14団体の活動報告

三輪みどりの会

町田市三輪町にある、市から委託された雑木林とその周囲の放置された田畑、計27200㎡が活動地域。今回の助成対象地区である田んぼと雑木林は約4000㎡です。2001年、町田市公園緑地課の呼びかけから24名で発足し、翌年、7000㎡の雑木林の管理を開始。その後、放置された田んぼの再生、畑での野菜作りも進め、田んぼでは地元の小学生の体験学習もおこなっています。発足当初から5年間は毎週日曜日の作業でしたが、今では年間を通して活動。野鳥観察や昆虫観察などの自然観察会、芋煮会、餅つき会なども、会員のご家族や地元の方を交えて開催しています。課題は、活動メンバーが固定化されつつあること。より多くの会員が参加しやすい環境づくりをおこなっていきたいと思っています。

南ちゃんの会

稲城駅から歩いて約10分の南山は、高尾山につぐ生態系豊かな里山でしたが、約3分の2が開発されることになりました。南ちゃんの会では2年半ほど前から、残る3分の1の区域で下草刈りを中心とした保全作業を実施。今は里山風情のある稲城らしい街づくりを目指して、開発地域にある貴重な山野草を移植し、挿し木で増やして開発後の町に植える活動に開発組合と協力しながら取り組んでいます。一昔前にはいたるところに咲いていたという金襴、銀欄を、開発地域の藪の中に分け入って探し出して移植。また南ちゃんの会で里山の一部、約1800㎡の土地を購入し、南山一の森と名づけました。この一の森にも刺し木で増やした山野草を植えて市民の癒しの場所にするべく、デザインを思案中です。

東大和市狭山緑地雑木林の会

活動地域は狭山丘陵の南東に位置し、多摩湖の南岸から派生した3つの尾根と2つの谷からなるコナラを中心とした雑木林。ヒノキの植林や竹林もある、武蔵野を色濃く残す里山です。14.5ha(東京ドーム約4つ分)のエリアを対象に、下草刈りなどをおこなっています。この雑木林も以前は生活林として機能していましたが、1960年頃から始まった燃料革命により薪や炭を使わなくなり、機能を喪失。1981年に市が町づくりのシンボルとして土地を買い上げ、市民の憩いの場となる多目的施設を整備しようと緑地基本計画を策定し、1985年に市立狭山緑地として開園しました。下草刈りや間伐などの保全活動をおこなうほか、季刊誌を年4回発行したり、東京学芸大の学生に体験実習の指導をしたりしています。

上川町緑地保全等対策実行委員会

八王子市の北西部にある地域の人員により2009年に発足。地域全体で貴重な里山の保全に取り組んでいます。毎月第四月曜日を「環境整備の日」と定めて活動。参加者30~50名が作業員として刈り払い機、チェーンソー等の道具を各自持参し、整備作業を行ってきました。休耕田・里山を誰もが散策できる「癒しの遊歩道」として整備した場所では、発足当時に植えたアナベルの花やヤマユリが綺麗に咲いています。助成金による備品などの購入で作業も楽になり、女性の参加者も増えました。役員実行委員会および地域住民の意識改革も進んだようです。四半期に一度、会員内での意見交換をして目的の達成に向けた作業手順の見直しを実施。今後は季節ごとの花畑や蛍が飛び交うような沢を目指して活動を進めていきたいと考えています。

代々木公園ボランティア

東京のど真ん中にある自然からかけ離れた環境で、木々がどのように生活しているのか観察してみようということで、週1のペースで樹種を決めての定点観測を行っています。樹種は、外国産の公園樹であるユリノキやヒマラヤスギ、日本固有種のカツラ、当時の自然植生であると考えられるクスノキやスダジイなど約30種。2004年から文字による記録を開始し、2006年からは写真も撮りはじめました。年に一度、作成した年間記録を公園事務所とグリーンアーカイブスで公開。その他に、週単位での園内掲示板と公園HPへの園内状況の掲載や、季節の様子、実や花の多様性などにテーマを絞った観察会、ドングリの種類を増やそうということで、ヒマラヤスギやミズナラを育てて園内に植樹する活動も行っています。

西東京 自然を見つめる会

田無市と保谷市が合併した西東京市で活動をしています。緑が多いと言われていますが、1993年に31.7%だった緑被率が2009年度には26%に下がり、ここ数年、毎年4~5haの畑や屋敷林が相続の問題で失われているのも事実です。我々は西東京市の緑における最後の砦は、市内に260箇所ある公園ではないかと考えています。そこで、もっと市民と行政に関心を持ってもらうために、西東京市が発足10周年を迎える今年、市民に「素晴らしい」「元気をもらえる」「皆に見てもらいたい」といったテーマでシンボル的な樹木を身近な場所から選んでもらい、「西東京市の木 50選」として11月に発表することになりました。これらの樹木や屋敷林の保存に取り組み、いずれ「西東京市の木 100選」を発表できたらと思っています。

カニ山の会

多摩川が武蔵野台地を刻み、崖が立川から世田谷の辺りまで繋がっている国分寺崖線は、国分寺や深大寺を有し、早くから武蔵野の地で文化、歴史が芽生えた土地です。立川から国分寺、小金井、調布、世田谷区と続いている湧水が作った地形の中にある、谷戸という細長い地形の周辺が活動地域。調布市が土地を借りて、野草園やキャンプ場などを作った中で、雑木林の樹林管理をしています。その樹林は戦争中に買収した土地なので、農用林的な管理はされておらず、樹齢は80年から100年にもなっています。山百合などが咲いてくれるのを期待していますが、なかなか咲いてくれません。助成による取り組みとして、都が買収して調布市に貸し与えた場所で、健全な雑木林作りに取り組んでいます。

認定NPO法人 自然環境復元協会

日本全国の環境活動者と連携を取り、自然の再生や身近な自然環境の保全活動を行っています。その一環として、東京近郊で高齢化により活動の継続が困難になっている団体と若手人材を結びつける活動「トーキョーレンジャーズ」を展開。杉並区の柏の宮公園での希少な植物の保全を目的とした選別除草や、竹林管理を目的とした筍の間引きなどの活動について、セブンの助成をいただきました。このプロジェクトの目標は新規人材の受け入れ。翌日に疲れを残さない午前中のみの活動、自然観察会など活動しながら自分自身が啓発できるような活動の2つをポイントに積極的な広報活動を行った結果、緑化活動未経験者17名を含む、24名の新規参加者を獲得することができました。緑を守ることを通して、私たちの生活が多くの方々に支えられていることを知り、身近な人々を思いやる気持ちを育むことで、地域や社会も豊かになっていくのだと思っています。

西川花の里づくりの会

活動地域は奥多摩渓谷と言われる急峻な町。多摩川の西川という小さな支流の中で、約8000㎡の山林を整備しています。2004年、財団法人東京市町村知事調査会という三多摩全域の市町村で構成された調査研究・情報提供・住民交流活動の支援などを行っている組織の10周年記念の事業を、西川花の里で行いました。2007年、10周年記念の際に集まった方たちが集まり、「CSRを促進する市民の会」を立ち上げ、その会と連携・協働して、保全作業やイベントを実施。毎年、春・秋にエコツーリズムシリーズとして行うイベントには、のべ600人以上が参加しています。道具などは自前のものを使っていましたが、助成金を得てチェンソー等の道具を購入することができました。

NPO法人 ふるさとの森づくりセンター

あきる野市の菅生地区を中心に、里山自然史博物館構想菅生エコミュージアムを展開するべく活動中。小中学生を中心とした里山体験や環境教育、竹林の整備、企業のCSR活動としての里山整備を行い、里山の環境調査も行っています。昨年度からあきる野市が取り組む「郷土の恵みの森構想」としての里山再生にも参画。その他に市民参加型の自然公園の管理をやっていこうと、これまでも東京の里山保全地域第一号である横沢入りでの保全活動を続けてきましたが、さらに羽村草花自然丘陵というところでも活動していく予定です。地域おこしや皆さんの憩いの森づくりに役立てるよう、活動していきたいと思っています。

入間・樹林の会

2000年7月、調布市が国分寺崖線の保全を市民に呼びかけたのをきっかけに発足。調布市の一番東にあり、世田谷区と境をなす入間町一丁目の樹林地を対象に、約12名で活動しています。当初1000㎡だった保全面積が、今は3000㎡に増加。毎月第3日曜日の午前中に活動し、「私から関わる樹林」「誰もが行きたくなる樹林」「ゆっくり作業を楽しむ樹林」「地形に応じた保全管理をする樹林」という4つの目標に向かっている非常にゆるやかな会です。1m四方の方形枠を8箇所、樹林地内に設けおこなう調査活動も7年間続けており、伐採をしていく中で明るくなった樹林地の方形枠の植生がどのように変化していくかが大きなテーマ。この結果は調布市が発行している環境白書にも掲載する予定です。今回の助成では、私たちの活動が市民に見えるように腕章を作成。今後は多くの市民を巻き込んだ活動にしていきたいと思っています。

隅田公園さくらパートナーシップ

2006年3月に設立し、墨田区隅田公園で活動をしています。目的は桜の保全活動、公園の緑化、桜に関する調査・記録など。桜の間伐材の再利用活動、文化歴史などの情報発信活動なども行っています。現在力を入れているのは、緑化再生プロジェクト。隅田公園の一番最初に皆さんが通る場所が今は何もない状態なので、土壌の改良を行い、綺麗な花を咲かせたいと思っています。土壌の改良に助成金を活用し、先月、耕運機を入れ、土の改良を行いました。16種類ほどの乾燥に強い花を試験植栽していく予定です。すぐに解決する問題ではありませんが、水不足も区や都と検討していきたい問題です。活動の窓口は墨田区役所の道路公園課にありますが、活動人数が少ないので、もっと市民を巻き込みたいと思っています。

NPO法人 東京どんぐり自然学校

2002年に設立。2003年にNPO法人となり、小平を中心とした関東一円を活動エリアに、年間約40日、保全活動を行っています。行政や市民、ボランティアとの協働によりイベント等も企画し、のべ800~900人が参加しました。助成金は小平市にある多摩川上水に沿った歴史ある林の保全活動に充当。1694年に薪炭林として開発された約3haの雑木林で、1970年代に経済林としての役目を終え、そのまま放置。1973年に小平市が保存樹林として指定し、2010年には特別緑地保全地区に指定され、市の要望で市とNPOと地域住民と一緒に維持管理を行っています。50~70年ほどの樹木、希少種の動植物が多く、落ち葉などの問題もありますが、近隣の方々に理解していただくことが保全のよい道でないかと思っています。

東京里山開拓団

5年ほど前から八王子市美山町にある荒れた里山に1人で通い始め、1年ほどをかけて頂上までの道を作り、広場を作り、間伐材や雨水の活用、落ち葉の腐葉土作りなどを行ううちに、周りの人々が関心をもつようになりました。里山に行きたい、何かしたいと思っている人はいるので、皆が活用できる里山を一緒に開拓する団体を作ろうと始めたのが「東京里山開拓団」です。この想いに反応してくれた地主さんが譲ってくださった1.5haほどの里山で、20代~30代を中心に10名程の会員を中心に、児童養護施設や子ども自然団体などと協力しながら活動しています。今秋には、会員が蓄積した里山開拓・活用のノウハウを活かして、悩みを抱える子供を支援する団体と共に里山開拓を行っていく予定。荒れた里山は日本に残された数少ないフロンティアではないかと考え、来年以降は他の里山にも活動を広げていきたいと思っています。