「どうする?うちの木 うちの林 民有緑地の将来を考えるセミナー」
開催しました。

XXX"「どうする?うちの木 うちの林 民有緑地の将来を考えるセミナー」開催しました。 今回は、民有地の緑を守り活かすため、地権者に対して社会資産としての緑地の価値を伝え、緑地を保全・活用する選択肢について再考するためのセミナーです。東京の緑を守る将来会議と杉並区の共催で、杉並区が毎年開催している保護樹木等所有者講習会および屋敷林所有者連絡会に代えて開催しました。当日は、雪が残り足元が悪い中多くの地権者が集まり、自身が所有する緑が価値あるものであることを再認識する機会となりました。

■■開催概要

【開催日時】:平成30年1月30日(火)13:30~16:30

【会場】:井草地域区民センター 第1・2集会室

【主催】:杉並区/東京の緑を守る将来会議

【後 援】一般財団法人セブン-イレブン記念財団/東京都

報告&交流会チラシ

■■プログラム

1.主催者あいさつ、参加者自己紹介
2.杉並区の緑関係制度説明
3.講演「地域の価値を向上させる民有緑地の活かし方を考える」
  講師:甲斐徹郎氏(㈱チームネット代表取締役)
4.ワークショップ・意見交換
  「民有緑地の活かし方をみんなで考えてみよう!」
5.閉会あいさつ(杉並区)

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■■開催報告

XXX ○主催者あいさつ、参加者自己紹介
はじめに、杉並区都市整備部みどり公園課長の土肥野氏から、本セミナーの主旨をご紹介いただきました。次に、東京の緑を守る将来会議代表の佐藤が、当団体の紹介と緑の保全と活用を考える意義についてご紹介。その後、スタッフを紹介し、参加者にグループごとに自己紹介をしていただきました。


XXX"○杉並区の緑関係制度説明
杉並区都市整備部みどり公園課みどりの計画係の玉置氏に、杉並区のみどりに関する取組みをご紹介いただきました。配布資料をじっくり眺め、杉並区の緑について理解を深める参加者の姿も見られました。また、会場内では農の風景育成地区に関するパネル展示。休憩時間などに眺める参加者の姿も。

XXX"○ご紹介いただいた内容

みどりの新聞「みどりのひと」の発行:年2回、7月と11月に発行。 ・塚山公園みどりの相談所の紹介:毎週土日9時~4時半対応中(年末年始は休み、12時~1時は昼休み)。
・みどりの講座開催:区民のみどりに関する意識の高揚を図るために年2回実施。
・みどりのベルトづくり:公園や道路などの「公共のみどり(骨格となるみどり)」と点在する「家の前のみどり(身近なみどり)」をベルトのようにつなげる取り組み。みどりのベルトづくり推進地区内で区と住民グループとの間で協定を結ぶことで、区が資材の提供等の補助を行い、みどりのベルトを形成する。
・落ち葉感謝月間・落ち葉感謝祭:落ち葉に感謝し「みどりのリサイクル」の考え方を広めるためのイベント。落ち葉感謝月間は11月15日~12月14日。落ち葉感謝祭は中杉通りや区内の公園で落ち葉掃きを実施するほか、井草森公園での落ち葉プールやドングリ、松ぼっくりを使った工作を開催。
・杉並区緑地保全方針の取組:モデル地区である荻窪一丁目・成田西三丁目で様々な取り組みを実施。
・荻窪一丁目・成田西二・三丁目農の風景育成地区:平成29年3月に指定。地域住民の協力を得ながら屋敷林・農地の保全を支援することで、農の風景を将来へ継承していく地域を目指す。地区面積21.7ha、うち農地の合計面積1.8ha(農地の占める割合8.2%)、農地の内訳は生産緑地0.9ha、宅地化農地0.2ha、その他農地0.7ha(成田西ふれあい農業公園、成田西区民農園、成田西第二苗圃)。
・「杉並のみどりと農を楽しむ小さな旅マップ」の発行:平成29年6月発行された農の風景育成地区紹介マップ。
・屋敷林イベントの開催:平成29年7月に荻窪一丁目の屋敷林で屋敷林・農地の魅力をPRするイベントを開催。
・屋敷林と農地の機能のPR:機能について紹介したイラストを紹介。
・農の風景育成地区展示企画「西田の風景いまむかし」:平成29年10月に西田小学校と連携し、杉並の原風景である農のある風景が地域に広がっていたことを現在に伝えるパネル展示を実施。
・セルフ落ち葉だめの設置:新たな落ち葉だめを作成。
・たき火イベントの開催:平成30年1月に荻窪一丁目の屋敷林にて「たき火」を行い、地域住民の交流の場の提供や農地を身近に感じてもらう機会を作り好評を得た。



XXX"〇講演「地域の価値を向上させる民有緑地の活かし方を考える」
㈱チームネット代表取締役の甲斐徹郎氏を講師に迎え、「地域の価値を向上させる民有緑地の活かし方を考える」をテーマに講演いただきました。緑は住環境の変化と共の減少しており、緑を活かすことによって土地の価値や地域の価値を向上させることができるということを、具体的な事例をもとに実感することができました!


XXX"<講演概要>
・緑が減少し続けている大きな原因として、住宅のデザイン手法が変化したことが挙げられる。エアコンがなかった昔の木造住宅では、快適に暮らすためには家の周辺環境を整える必要があった。そのため、北側に森をつくって風の流れを生み出し、その南側に家をたてることが必然的に行われていた。しかし、コンクリートの住宅の中で、エアコンを使って快適に過ごせるようになった現代では、家の外の環境を整える必要はなくなり、緑が減少していった。
・現在の住環境でも、緑を利用すれば、エアコンを使わなくても快適な住まいを作り出すことができる。このような住まいが広がれば、既存の緑はとても重宝され、価値あるものとして認識される。 ・銀座の裏通りにある植栽が豊かなお店は、緑のおかげで人が自然と店に注目し、にぎわっている。また、通りに街路樹があると、人はそこに出来る日陰を求めてその通りを選んで歩く。このように、緑が人の行動に及ぼす影響は大きい。
・江戸時代から続く屋敷林を残しながら、共同住宅を建てた「欅ハウス」。このプロジェクトで重視したのは「コミュニティ」ではなく「コミュニティベネフィット」。コミュニティを目的にするのではなく、皆で投資して共有価値を生み出し、個人では得られない共有の価値をシェアするという考え方。共有価値として残せば、緑は残すことができる。
・昨年度に練馬区で民有緑地の将来を考えるセミナーを実施した。そこで出会った土地所有者の方と新たなプロジェクトを開始し、緑を活かした賃貸住宅のリノベーションを行った。リノベーションと合わせて、賃貸住宅のアプローチとなる所有者のお庭を市民参加型で手入れし、民有地でありながら地域に開放するプロジェクトを進めている。この取り組みが評価され、将来会議主催のイベントがきっかけで生まれたプロジェクトが、(公財)都市緑化機構が行っている緑の環境プラン大賞「国土交通大臣賞」を受賞した。


〇ワークショップ・意見交換「民有緑地の活かし方をみんなで考えてみよう!」

講師の甲斐氏と東京の緑を守る将来会議代表の佐藤が進行し、「民有緑地の活かし方をみんなで考えてみよう!」をテーマにワークショップを行いました。参加者は4グループに分かれ、それぞれのグループに杉並区職員を含む2名のスタッフが参加。各グループには実在するモデルエリアを示した図と模造紙を配布し、モデルエリアの緑の活用について考えました。モデルエリアの中心には緑豊かな庭を持つ古民家があり、北側には10階建てのマンション、西側には駐車場、東側には4階建てのアパート、南側には道路があります。それぞれの敷地は塀で囲われて個別の空間となっている状況です。この場所を、緑を活かした土地活用によって価値を高めるにはどうすればよいか、グループごとに意見を出し合い、最後に発表を行いました。


XXX"〇甲斐氏まとめコメント

緑を活かすという視点でエリアの活用を考えると、様々なアイディアが出てくる。今回のワークショップ中、皆さん楽しそうに意見出しをしていた。それが緑の力だと思う。緑を活かした空間に住みたい、使いたいというニーズは高まっている。皆さんが持っている緑がまちのお宝であることに自信を持ってほしい。


XXX"〇閉会あいさつ(杉並区)

最後に、杉並区都市整備部みどり公園課みどりの計画係の小林氏から感想をいただきました。「いつもの集まりよりも、活発に意見交換されていた姿が印象的で、地権者の皆さんにとって緑の価値を再認識する機会となったようで意義のある会だった」とのご感想を頂きました!